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生活のTips 仕事・生活編②
片頭痛と光の関係

監修:獨協医科大学病院
医療安全推進センター・頭痛センター
辰元 宗人 先生

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光によって片頭痛が起きやすいというあなた。光には太陽光、照明、デジタル端末のブルーライトなど、多くの種類があります。どのような光で片頭痛が起きやすいかを振り返ってみましょう。

ブルーライトを不快に感じたことがある方は、できる範囲でスマートフォンの使用頻度を下げるなどの工夫をしてみてはいかがですか。

まぶしい光が苦手な方には、ご自宅の照明や内装を優しい色合いのものに変えるなどの対策もおすすめです。

日常生活で浴びる「光」。
ときには片頭痛の一因に・・・

片頭痛と「光」の関係については別項で紹介しました(➡こちら)。太陽光、屋内外の照明、最近ではスマートフォンなどのデジタル端末から発せられるブルーライトなど、これらの光は生活とは切り離せません。一方で、片頭痛の原因にもなる「光」。片頭痛にはどのような影響があるのでしょうか。
今回は光と片頭痛の関係、そして日常生活で行える対処法を紹介します。

どのような光刺激が片頭痛の原因になるのでしょうか

片頭痛患者さんはどのような光を不快に感じるのでしょうか。海外の研究結果をいくつか紹介します。

片頭痛患者さんは健康な方よりもハロゲン電球の光刺激に対して過敏な反応を示し、不快感、痛みを感じる方が多いという研究結果があります1)。また、波長の異なる3種類の可視光について不快に感じる光の強さ(照度閾値)を比較した結果、片頭痛患者さんは緊張型頭痛患者さんや健康な方よりも波長が短い光(青色光)、波長が長い光(赤色光)に対して、弱い光でも不快と感じることが示されました2)

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片頭痛患者さんは、白色LEDとブルーライトが苦手

光刺激による片頭痛の影響を小さくするために、具体的にどのような対策ができるでしょうか。日本で行われた研究結果に沿って紹介します。

片頭痛患者さんに、白色LED、白色蛍光ランプ、電球型ランプの光を照らして、最も不快に感じた光はどれかを調べたところ、約6割の患者さんが白色LEDの光源を最も不快に感じました。一方で、白色蛍光ランプと電球型ランプの光を不快に感じた患者さんはそれぞれ約2割にとどまりました(下記イラスト参照)3)

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さらに、ブルーライトを含む3種類の光源に対する反応を検討した研究で、片頭痛患者さんは健康な方よりもブルーライトの光をまぶしく感じていることもわかりました4)

片頭痛もちの方は白色LED、ブルーライトの光をできる範囲で避ける工夫が必要なようです。
特に夜間、寝室で照明をつけずにスマートフォンの光を浴びることは片頭痛発作の誘因になったり、睡眠リズムにも影響したりする可能性があるので注意してください。

日常生活ではどのような対策ができるでしょうか?

では、片頭痛患者さんが、くつろげる住環境をつくるにはどうすればよいのでしょうか。

片頭痛もちの方がくつろぐのに適した室内環境を検討したところ、片頭痛患者さんは壁は黄色系、照明は暖色系の空間を心地よく感じることがわかりました5)。実際に住環境を転居で改善した例では、片頭痛もちの方の住居の照明を白色蛍光灯から調光可能な電球色LEDへ、内装色は白色からベージュ系を基調としたコントラストを抑えたものに変更し、転居前後でそれぞれ45日間ずつ観察したところ、頭痛が起こった日数が13日から6日に、頭痛薬の服用日数が7日から2日に減少しました(図)6)

図:住環境と片頭痛日数の関係

光による頭痛に悩んでいる方は、室内照明を電球色にしたり壁紙を変更したりするなど、住環境の改善も検討してみてはいかがでしょうか。

  • 1)Vanagaite J, et al. Cephalalgia. 1997;17:733-741
  • 2)Main A, et al. Headache. 2000;40:194-199
  • 3)辰元宗人. 照明学会誌. 2015;99:25-27
  • 4)辰元宗人. 日本生理人類学会誌. 2020;25:41-45
  • 5)鍵本明里 ほか. 同志社女子大学生活科学. 2015;49:42-45
  • 6)辰元宗人. Headache Clin Sci. 2014;5:26-27