監修:富士通クリニック 頭痛外来
五十嵐 久佳 先生
「ある状況で片頭痛が起こりやすい」と、多くの方が感じています。人によって異なりますが、たとえばストレスが引き金になるという方は多いようです。その他にも、睡眠時間や天候の変化、首の痛みや肩こり、空腹、アルコール、におい、光、騒音、月経などが片頭痛を起こす要因になります。
お薬による治療だけではなく、片頭痛を起こしやすい状況を積極的に避けたり、生活習慣や食生活などを整えたりすることで、痛みの発生を抑えて生活に支障が生じるのを防ぐことができる可能性があります1,2)。
まずは、自分の頭痛の特性を知り、普段の生活がどのように頭痛に影響を及ぼすかを適切に把握することから、「片頭痛コントロール」をはじめてみませんか?その方法として、頭痛ダイアリーの活用もおすすめです。(詳しくは「頭痛ダイアリー」を参照)
精神的ストレス
ストレスがあるときや、ストレスから解放されたときに頭痛が起こりやすくなります。
睡眠
睡眠不足だけでなく、寝過ぎによっても頭痛を引き起こしやすくなります。
天候の変化
天候の変化によって頭痛が起こりやすいと感じる方がいます。
空腹や特定の食品
空腹や特定の食品によって頭痛が起こりやすいという方がいます。
アルコール
アルコールによって頭痛が起こりやすいと感じる方がいます。
においや光
においや光を感じると頭痛が起こることがあります。
月経周期
女性は月経の周期によって頭痛が生じやすいときがあります。
精神的なストレスと頭痛は関係が深く、片頭痛患者さんの約60~80%はストレスがかかったときに頭痛を起こしやすいという報告があります2,3)。一方、ストレスから解放されたときに頭痛が生じやすいという方もいます3)。
睡眠時間が変わることによって頭痛が起こりやすくなる場合があります。片頭痛患者さんの約30%は睡眠不足のとき、約25%は寝過ぎたときに頭痛が起こると考えています3)。
天候の変化によって頭痛が起こりやすいという方もいます。片頭痛患者さんの約53%は、天候の変化が頭痛の誘因となることがあると報告しています。また、男性よりも女性のほうが、天候の変化によって頭痛を起こしやすい傾向があります2)。
片頭痛患者さんの約57%は、空腹によって頭痛が起こることがあると考えています2)。また、たまにチーズ、チョコレート、果物、ナッツ類など、特定の食品が頭痛の原因になると感じている方がいますが、これらの食品によって毎回頭痛が生じるというわけではなく、全ての人に当てはまるものでもないため、無理に食事を制限する必要はありません1)。
アルコールが頭痛の原因になると考えている方もいます2)。特に赤ワインは頭痛を引き起こしやすいことが知られています4)。
香水やたばこなどのにおい、または光によって頭痛が起こりやすいという方もいます。男性よりも女性のほうが、においによって頭痛を起こしやすいようです2)。
女性の片頭痛患者さんの約半数は、月経周期に関連して片頭痛が起こります5)。これは、女性ホルモンの分泌の変動によるものと考えられています6)。特に、エストロゲンの血中濃度が低下する月経がはじまる数日前から月経中に、片頭痛を発症する方が多くみられます5)。